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8.1 ハッシュテーブルの作成

ハッシュテーブルを作成する基本的な関数はmake-hash-tableです。

Function: make-hash-table &rest keyword-args

この関数は指定された引数に対応する新しいハッシュテーブルを作成する。引数はキーワード(特別に認識される独自のシンボル)と、それに対応する値を交互に指定することで構成される。

make-hash-tableではいくつかのキーワードが意味をもつが、実際に知る必要があるのは:test:weaknessの2つだけである。

:test test

これはそのハッシュテーブルにたいしてキーを照合する方法を指定する。デフォルトはeqlであり他の代替としてはeqequalがある:

eql

キーが数字ならそれらがequal、つまりそれらの値が等しくどちらも整数か浮動小数点数なら同一。それ以外なら別の2つのオブジェクトは決して同一とならない。

eq

別の2つのLispオブジェクトはすべて別のキーになる。

equal

別の2つのLispオブジェクトで、それらがequalなら同一のキーである。

testにたいして追加の選択肢を定義するために、define-hash-table-test (ハッシュの比較の定義を参照)を使用することができる。

:weakness weak

ハッシュテーブルのweakness(強度)は、ハッシュテーブル内に存在するキーと値をガーベージコレクションから保護するかどうかを指定する。

weakにはnilkeyvaluekey-or-valuekey-and-value、またはt(key-and-valueのエイリアス)のいずれかを指定しなければならない。weakkeyならそのハッシュテーブルは、(キーが他の場所で参照されていなければ)ハッシュテーブルのキーがガーベージコレクトされるのを妨げられない。ある特定のキーがガーベージコレクトされると、それに対応する連想はハッシュテーブルから削除される。

weakvalueならそのハッシュテーブルは、(値が他の場所で参照されていなければ)ハッシュテーブルの値がガベージコレクトされるのを妨げられない。ある特定の値がガーベージコレクトされると、それに対応する連想はハッシュテーブルから削除される。

weakkey-and-value(かt)なら、その連想を保護するためにはキーと値の両方が生きていなければならない。したがってそのハッシュテーブルは、キーと値の一方だけをガーベージコレクトから守ることはしない。キーか値のどちらか一方がガーベージコレクトされたら、その連想は削除される。

weakkey-or-valuenara、キーか値のどちらか一方で、その連想を保護することができる。したがってキーと値の両方がガベージコレクトされたときだけ(それがハッシュテーブル自体にたいする参照でなければ)、ハッシュテーブルからその連想が削除される。

weakのデフォルトはnilなので、ハッシュテーブルから参照されているキーと値はすべてガーベージコレクションから保護される。

:size size

これはそのハッシュテーブルに保管しようとしている、連想の数にたいするヒントを指定する。数が概算で判っていれば、この方法でそれを指定して処理を若干効率的にすることができるが、ハッシュテーブルのメモリーは自動的に管理されているので、有意な速度の改善はほとんどないだろう。

ハッシュテーブルのプリント表現を使用してハッシュテーブルを作成することもできます。指定されたハッシュテーブル内の各要素が、有効な入力構文(プリント表現と読み取り構文を参照)をもっていれば、Lispリーダーはこのプリント表現を読み取ることができます。たとえば以下は値val1 (シンボル)と300 (数字)に関連づけられた、キーkey1key2 (両方ともシンボル)をハッシュテーブルに指定します。

#s(hash-table data (key1 val1 key2 300))

しかしこれをEmacs Lispコードで使用する際には、ハッシュテーブルを新たに作成するかどうかは未定義であることに注意してください。ハッシュテーブルを新たに作成したければ、常にmake-hash-tableを使う必要があります(自己評価を行うフォームを参照)。

ハッシュテーブルのプリント表現は‘#s’と、その後の‘hash-table’で始まるリストにより構成されます。このリストの残りの部分はそのハッシュテーブルのプロパティと初期内容を指定する、0個以上のプロパティと値からなるペアで構成されるべきです。プロパティと値はそのまま読み取られます。有効なプロパティ名はtestweaknessdataです。dataプロパティは、初期内容にたいするキーと値のペアからなるリストであるべきです。他のプロパティは、上記で説明したmake-hash-tableのキーワード(:test:weakness)と同じ意味をもちます。

バッファーやフレームのような、入力構文をもたないオブジェクトを含んだ初期内容をもつハッシュテーブルを指定できないことに注意してください。そのようなオブジェクトは、ハッシュテーブルを作成した後に追加します。

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