24.7.1 Font Lockの基礎

Font Lock機能はいくつかの基本的な関数にもとづきます。これらはそれぞれ対応する変数により指定される関数を呼び出します。このインダイレクションによりメジャーモードとマイナーモードはそのモードにあるバッファーのフォント表示が機能する方法を変更したり、フォント表示を何も行わない機能にたいしてさえFont Lockメカニズムを使用することが可能になります(以下の記述で関数が何を行うか説明する際に“should(すること、するべき)”と表現しているのはこれが理由。モードは完全に異なる何かを行うように対応する変数をカスタマイズできる)。以下で言及される変数はFont Lockのその他の変数で説明されています。

font-lock-fontify-buffer

この関数はfont-lock-fontify-buffer-functionで指定される関数の呼び出しにより、カレントバッファーのアクセス可能範囲をフォント表示すること。

font-lock-unfontify-buffer

フォント表示削除のためにFont Lockをオフに切り替える際に使用する。font-lock-unfontify-buffer-functionで指定される関数を呼び出す。

font-lock-fontify-region beg end &optional loudly

begendの間のリージョンをフォント表示すること。loudlyが非nilなら、フォント表示中にステータスメッセージを表示すること。font-lock-fontify-region-functionで指定される関数を呼び出す。

font-lock-unfontify-region beg end

begendの間のリージョンのフォント表示を削除すること。font-lock-unfontify-region-functionで指定される関数を呼び出す。

font-lock-flush &optional beg end

この関数はbegendの間のリージョンのフォント表示を期限切れ(outdated)とマークすること。begendが未指定またはnilなら、デフォルトはそのバッファーのアクセス可能範囲の先頭と終端。font-lock-flush-functionで指定される関数を呼び出す。

font-lock-ensure &optional beg end

この関数はbegendの間のリージョンのフォント表示を保証すること。オプション引数begendのデフォルトは、そのバッファーのアクセス可能範囲の先頭と終端。font-lock-ensure-functionで指定される関数を呼び出す。

font-lock-debug-fontify

これはモード用のFont Lock開発時の使用を意図した利便的なコマンドであり、Lispコードから呼び出すべきではありません。これは関連するすべての変数を再計算してから、バッファー全体にたいしてfont-lock-fontify-regionを呼び出します。

Font Lockモードのテキストのハイライト方法を制御する変数がいくつかあります。しかしメジャーモードはこれらの変数を直接セットするべきではありません。かわりにメジャーモードはバッファーローカル変数としてfont-lock-defaultsをセットするべきです。Font Lockモードが有効なときは、他のすべての変数をセットするためにこの変数に割り当てられた値が使用されます。

Variable: font-lock-defaults

この変数はそのモード内のテキストをフォント表示する方法を指定するためにモードによりセットされる。この変数はセットした際に自動的にバッファーローカルになる。変数の値がnilならFont Lockモードはハイライトを行わず、バッファー内のテキストに明示的にフェイスを割り当てるために‘Faces’メニュー(メニューバーの‘Edit’の下の‘Text Properties’)を使用できる。

nilなら値は以下のようであること:

(keywords [keywords-only [case-fold
 [syntax-alist other-vars...]]])

1つ目の要素keywordsは検索ベースのフォント表示を制御するfont-lock-keywordsの値を間接的に指定する。値にはシンボル、変数、またはfont-lock-keywordsにたいして使用するリストが値であるような関数を指定できる。またそれぞれのシンボルがフォント表示の可能なレベルであるような、いくつかのシンボルからなるリストも指定できる。この場合には、1つ目のシンボルはフォント表示の‘モードデフォルト(mode default)’レベル、次のシンボルはフォント表示のレベル1、その次はレベル2、...のようになる。‘モードデフォルト’レベルは通常はレベル1と等しい。これはfont-lock-maximum-decorationnil値をもつとき使用される。Font Lockのレベルを参照のこと。

2つ目の要素keywords-onlyは変数font-lock-keywords-onlyの値を指定する。これが省略またはnilなら、(文字列とコメントの)構文的フォント表示も行われる。非nilなら構文的フォント表示は行われない。構文的なFont Lockを参照のこと。

3つ目の要素case-foldfont-lock-keywords-case-fold-searchの値を指定する。非nilなら検索ベースフォント表示の間、Font Lockモードはcaseの違いを無視する。

4つ目の要素syntax-alistが非nilなら、それは(char-or-string . string)という形式のコンスセルのリストであること。これらは構文的フォント表示にたいする構文テーブルのセットアップに使用される。結果となる構文テーブルはfont-lock-syntax-tableに格納される。syntax-alistが省略またはnilなら、構文的フォント表示はsyntax-table関数によりリターンされる構文テーブルを使用する。構文テーブルの関数を参照のこと。

(もしあれば)残りすべての要素はまとめてother-varsと呼ばれる。これらの要素はすべて(variable . value)という形式をもつこと。これはvariableをバッファーローカルにしてから、それにvalueをセットすることを意味する。これらother-varsを使用して、最初の5つの要素による制御とは別にフォント表示に影響する他の変数をセットできる。Font Lockのその他の変数を参照のこと。

モードがfont-lock-faceプロパティ追加により明示的にテキストをフォント表示する場合には、自動的なフォント表示すべてをオフにするためにfont-lock-defaults(nil t)を指定できます。しかしこれは必須ではありません。font-lock-faceを使用して何かをフォント表示して、それ以外の部分のテキストを自動的にフォント表示するようにセットアップすることが可能です。

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