5.3 リスト要素へのアクセス

Function: car cons-cell

この関数はコンスセルcons-cellの1番目のスロットが参照する値をリターンする。言い換えるとこの関数はcons-cellCARをリターンする。

特別なケースとしてcons-cellnilの場合、この関数はnilをリターンする。したがってリストはすべて引数として有効である。引数がコンスセルでもnilでもなければエラーがシグナルされる。

(car '(a b c))
     ⇒ a
(car '())
     ⇒ nil
Function: cdr cons-cell

この関数はコンスセルcons-cellの2番目のスロットにより参照される値をリターンする。言い換えるとこの関数はcons-cellCDRをリターンする。

特別なケースとしてcons-cellnilの場合、この関数はnilをリターンする。したがってリストはすべて引数として有効である。引数がコンスセルでもnilでもければエラーがシグナルされる。

(cdr '(a b c))
     ⇒ (b c)
(cdr '())
     ⇒ nil
Function: car-safe object

この関数により他のデータ型によるエラーを起こさずに、コンスセルのCARを取得できり。この関数はobjectがコンスセルならobjectCAR、それ以外はnilをリターンする。この関数は、objectがリストでなければエラーをシグナルするcarとは対象的である。

(car-safe object)
≡
(let ((x object))
  (if (consp x)
      (car x)
    nil))
Function: cdr-safe object

この関数により他のデータ型によるエラーを起こさずに、コンスセルのCDRを取得できる。この関数はobjectがコンスセルならobjectCDR、それ以外はnilをリターンする。この関数は、objectがリストでないときはエラーをシグナルするcdrとは対象的である。

(cdr-safe object)
≡
(let ((x object))
  (if (consp x)
      (cdr x)
    nil))
Macro: pop listname

このマクロはリストのCARを調べて、それをリストから取り去るのを一度に行なう便利な方法を提供する。この関数はlistnameに格納されたリストにたいして処理を行なう。この関数はリストから1番目の要素を削除して、CDRlistnameに保存し、その後で削除した要素をリターンする。

もっとも単純なケースは、リストに名前をつけるためのクォートされていないシンボルの場合である。この場合、このマクロは(prog1 (car listname) (setq listname (cdr listname)))と等価である。

x
     ⇒ (a b c)
(pop x)
     ⇒ a
x
     ⇒ (b c)

より一般的なのはlistnameが汎変数(generalized variable)の場合である。この場合、このマクロはsetfを使用してlistnameに保存する。ジェネリック変数を参照のこと。

リストに要素を追加するpushマクロについてはリスト変数の変更を参照のこと。

Function: nth n list

この関数はlistn番目の要素をリターンする。要素は0から数えられるのでlistCARは要素0になる。listの長さがn以下なら値はnil

(nth 2 '(1 2 3 4))
     ⇒ 3
(nth 10 '(1 2 3 4))
     ⇒ nil

(nth n x) ≡ (car (nthcdr n x))

これは関数eltも類似しているが、任意の種類のシーケンスに適用される。歴史的な理由によりこの関数は逆の順序で引数を受け取る。シーケンスを参照のこと。

Function: nthcdr n list

この関数はlistn番目のCDRをリターンする。言い換えると、この関数はlistの最初のn個のリンクをスキップしてから、それ以降をリターンする。

nが0ならnthcdrlist全体をリターンする。listの長さがn以下ならnthcdrnilをリターンする。

nthcdrのエイリアスはdrop

(nthcdr 1 '(1 2 3 4))
     ⇒ (2 3 4)
(nthcdr 10 '(1 2 3 4))
     ⇒ nil
(nthcdr 0 '(1 2 3 4))
     ⇒ (1 2 3 4)
Function: take n list

この関数はlistの最初のn個の要素をリターンする。要するにlistからnthcdrをスキップした部分をリターンする。

listの要素の数がnより少なければlistnが0か負ならnilをリターンする。

一般的に(append (take n list) (drop n list))listと同じリストをリターンする。

(take 3 '(a b c d))
     ⇒ (a b c)
(take 10 '(a b c d))
     ⇒ (a b c d)
(take 0 '(a b c d))
     ⇒ nil
Function: ntake n list

これは引数であるリストの構造を破壊的に変更することによって機能するバージョンのtakeである。これにより高速になるが、listの元の値は失われるだろう。

ntakeは要素の数がnより少なければ変更せずにlistを、nが0か負ならnilをリターンする。それ以外の場合には最初のn個の要素に切り詰められたlistをリターンする。

これはnが正だと判っていない場合には単純に切り詰め効果を信頼するのではなく、通常はリターン値を使うほうが賢明だということを意味している。

Function: last list &optional n

この関数はlistの最後のリンクをリターンする。このリンクのcarはこのリストの最後の要素。listがnullならnilがリターンされる。nが非nilならn番目から最後までのリンクがリターンされる。nlistの長さより大きければlist全体がリターンされる。

Function: safe-length list

この関数はエラーや無限ループの危険なしで、listの長さをリターンする。この関数は一般的に、リスト内のコンスセルの個数をリターンする。しかし循環リストでは単に上限値が値となるため、非常に大きくなる場合があります。

listnilとコンスセルのいずれでもなければsafe-lengthは0をリターンする。

循環リストを考慮しなくてもよい場合にリストの長さを計算するもっとも一般的な方法は、lengthを使う方法です。シーケンスを参照してください。

Function: caar cons-cell

これは(car (car cons-cell))と同じ。

Function: cadr cons-cell

これは(car (cdr cons-cell))(nth 1 cons-cell)と同じ。

Function: cdar cons-cell

これは(cdr (car cons-cell))と同じ。

Function: cddr cons-cell

これは(cdr (cdr cons-cell))(nthcdr 2 cons-cell)と同じ。

上記に加えてcxxxrcxxxxrのようなcarcdrで構成される24の関数が定義されています。ここでxadのいずれかです。cadrcaddrcadddrはそれぞれリストの2つ目、3つ目、4つ目の要素です。cl-libは同じものをcl-secondcl-thirdcl-fourthという名前で提供しています。List Functions in Common Lisp Extensionsを参照してください。

Function: butlast x &optional n

この関数はリストxから、最後の要素か最後のn個の要素を削除してリターンする。nが0より大きければこの関数はリストのコピーを作成するので、元のリストに影響はない。一般的に(append (butlast x n) (last x n))は、xと等しいリストをリターンする。

Function: nbutlast x &optional n

この関数はリストのコピーを作成するのではなく、cdrを適切な要素に変更することにより破壊的に機能するバージョンのbutlastである。


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