36.2 構文記述子

構文クラス(syntax class)の文字は、その文字の構文的な役割を記述します。各構文テーブルは、それぞれの文字の構文クラスを指定します。ある構文テーブルでの文字のクラスと、別のテーブルにおけるその文字のクラスとの間に関連性がある必要はありません。

構文テーブルはそれぞれニーモニック文字(mnemonic character)により選別され、クラスを指定する必要がある際にはそのクラスの名前としての役割を果たします。この指定子文字(designator character)は通常はそのクラスに割当てられることが多々あります。しかしその指定子としての意味は不変であり、その文字がカレントでもつ構文とは独立しています。つまりカレント構文テーブルにおいて実際に文字‘\’が構文をもつかどうかに関係なく、指定子文字としての‘\’は常にエスケープ文字(escape character)を意味します。 構文クラスとそれらの指定子文字のリストは構文クラスのテーブルを参照してください。

構文記述子(syntax descriptor)とは文字の構文クラスと、その他の構文的なプロパティを記述するLisp文字列です。ある文字の構文を変更したい際には、関数modify-syntax-entryを呼び出して引数に構文記述子を渡すことにより行います(構文テーブルの関数を参照)。

構文記述子の1つ目の文字は構文クラスの指定子文字でなければなりません。2つ目の文字がもしあれば、マッチング文字を指定します(Lispでは‘(’にたいするマッチング文字は‘)’)。スペースはマッチング文字が存在しないことを指定します。その後に続く文字は追加の構文プロパティを指定します(構文フラグを参照)。

マッチング文字やフラグが必要なければ、(構文クラスを指定する)1つの文字だけで十分です。

たとえばCモードでの文字‘*’の構文記述子は". 23" (区切り記号、マッチング文字用スロットは未使用、コメント開始記号の2つ目の文字、コメント終了記号の1つ目の文字)、‘/’にたいするエントリーは‘. 14’ (区切り記号、マッチング文字用スロットは未使用、コメント開始記号の1つ目の文字、コメント終了記号の2つ目の文字)です。

Emacsは低レベルでの構文クラスを記述するために使用されるraw構文記述子(raw syntax descriptors)も定義しています。構文テーブルの内部を参照してください。

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