Next: ディスプレイの制御, Previous: テキストのkillと移動, Up: The Emacs Editor [Contents][Index]
Emacsのレジスター(registers)は、テキストや矩形領域、位置、その他、後で使うものを保存するための区画です。一度テキストや矩形領域をレジスターに保存すれば、それをバッファーに何度もコピーできます。一度場所をレジスターに保存すれば、何度でもその場所にジャンプして戻ることができます。
各レジスターは1文字からなる名前があり、ここではrと表記することにします。rには、英字(‘a’など)または数字(‘1’など)を使用できます。大文字小文字は区別されるので、レジスター‘a’とレジスター‘A’は同じではありません。たとえばC-q ‘C-d’のように‘C-d’のような、非英数字にレジスターをセットすることもできます。
レジスターには位置、テキスト、矩形領域、数字、ウィンドウやフレームの構成、、バッファー名、ファイル名が保存できますが、一度に保存できるのは1つです。レジスターに何か保存すると、他の何かをそのレジスターに保存するまで残ります。レジスターrに何が含まれているのか見るには。M-x view-registerを使います:
レジスターrに何が含まれるかの説明を表示します。
レジスターに入力を求めるコマンドはすべて、デフォルトでは短い遅延の後に既存のレジスターをリストするプレビューウィンドウ、(もしあれば)それぞれのカレント値を表示します。レジスターのプロンプトに関する他の側面についてはregister-use-preview
の値をセットすることでカスタマイズできます。以下の値が設定できます:
traditional
この値(デフォルト)では、Emacsは29以前のすべてのEmacsと同じように振る舞います。遅延の後に既存のレジスターのプレビューを表示して、レジスターの名前である1文字をタイプして既存のレジスターの値を上書きできます。プレビューが表示されるまでの遅延は、カスタマイズ可能な変数register-preview-delay
(秒数で遅延を指定)によって決定されます。これをnil
にセットすればプレビューは無効になります(ただしEmacsがレジスターの入力を求める際にC-hかF1を押下してプレビューウィンドウを明示的に要求することはできます)。
t
この値はより柔軟性のある既存レジスターのプレビューを要求します。Emacsがレジスターの入力を求めるのと同時(register-preview-delay
は効果なし)にプレビューが表示されるとともにプレビューウィンドウ内のレジスター間の移動にC-nとC-p
(または矢印キーのUPとDOWNを用いたナビゲーションが提供されます。このモードでの既存レジスターの値の上書きではレジスターの名前をタイプするか、あるいはこれらのナビゲーションによってレジスターを選択した後ならRETをタイプする必要があります。
さらにプレビューをポップアップしたコマンドに応じて、レジスターが絞り込まれてプレビューに表示されます。たとえばinsert-register
によって表示されたプレビューにはウィンドウ構成、位置、その他の挿入できない値が省略されて、値をバッファーに挿入するレジスターだけが表示されます。
insist
この値はt
と似ていますが、RETのかわりにレジスターと同じキーを1回以上押下すればミニバッファーを抜け出せる点が異なります。
nil
この値はtraditional
と似ていますが遅延なしでのプレビュー表示、コマンドに応じた絞り込みを要求する点が異なります。
never
この値はnil
と似ていますがプレビューを無効にします。
ブックマーク(Bookmarks)はファイルと位置を記録するので、ファイルを再び見るときは記録された位置から閲覧できます。ブックマークも本質的にレジスター同じなので、このチャプターに記載します。