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15 レジスター

Emacsのレジスター(registers)は、テキストや矩形領域、位置、その他、後で使うものを保存するための区画です。一度テキストや矩形領域をレジスターに保存すれば、それをバッファーに何度もコピーできます。一度場所をレジスターに保存すれば、何度でもその場所にジャンプして戻ることができます。

各レジスターは1文字からなる名前があり、ここではrと表記することにします。rには、英字(‘a’など)または数字(‘1’など)を使用できます。大文字小文字は区別されるので、レジスター‘a’とレジスター‘A’は同じではありません。たとえばC-qC-d’のように‘C-d’のような、非英数字にレジスターをセットすることもできます。

レジスターには位置、テキスト、矩形領域、数字、ウィンドウやフレームの構成、、バッファー名、ファイル名が保存できますが、一度に保存できるのは1つです。レジスターに何か保存すると、他の何かをそのレジスターに保存するまで残ります。レジスターrに何が含まれているのか見るには。M-x view-registerを使います:

M-x view-register RET r

レジスターrに何が含まれるかの説明を表示します。

レジスターに入力を求めるコマンドはすべて、デフォルトでは短い遅延の後に既存のレジスターをリストするプレビューウィンドウ、(もしあれば)それぞれのカレント値を表示します。レジスターのプロンプトに関する他の側面についてはregister-use-previewの値をセットすることでカスタマイズできます。以下の値が設定できます:

traditional

この値(デフォルト)では、Emacsは29以前のすべてのEmacsと同じように振る舞います。遅延の後に既存のレジスターのプレビューを表示して、レジスターの名前である1文字をタイプして既存のレジスターの値を上書きできます。プレビューが表示されるまでの遅延は、カスタマイズ可能な変数register-preview-delay (秒数で遅延を指定)によって決定されます。これをnilにセットすればプレビューは無効になります(ただしEmacsがレジスターの入力を求める際にC-hF1を押下してプレビューウィンドウを明示的に要求することはできます)。

t

この値はより柔軟性のある既存レジスターのプレビューを要求します。Emacsがレジスターの入力を求めるのと同時(register-preview-delayは効果なし)にプレビューが表示されるとともにプレビューウィンドウ内のレジスター間の移動にC-nC-p (または矢印キーのUPDOWNを用いたナビゲーションが提供されます。このモードでの既存レジスターの値の上書きではレジスターの名前をタイプするか、あるいはこれらのナビゲーションによってレジスターを選択した後ならRETをタイプする必要があります。

さらにプレビューをポップアップしたコマンドに応じて、レジスターが絞り込まれてプレビューに表示されます。たとえばinsert-registerによって表示されたプレビューにはウィンドウ構成、位置、その他の挿入できない値が省略されて、値をバッファーに挿入するレジスターだけが表示されます。

insist

この値はtと似ていますが、RETのかわりにレジスターと同じキーを1回以上押下すればミニバッファーを抜け出せる点が異なります。

nil

この値はtraditionalと似ていますが遅延なしでのプレビュー表示、コマンドに応じた絞り込みを要求する点が異なります。

never

この値はnilと似ていますがプレビューを無効にします。

ブックマーク(Bookmarks)はファイルと位置を記録するので、ファイルを再び見るときは記録された位置から閲覧できます。ブックマークも本質的にレジスター同じなので、このチャプターに記載します。

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