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1.1 GNU gettextの目的

プログラムは通常、英語でドキュメントされており、実行時にユーザーと相互作用する場合にも英語が使用されます。これはGNUソフトウェアに限らず、多くのフリーソフトウェアにも当てはまる話です。開発者やメンテナー、すべての国々のユーザー同士でコミュニケーションする場合、共通の言語を使用するほうが便利です。一方、ほとんどの人は英語より自分の母国語を好み、日々の仕事にも可能な限り母国語を使用しています。単純に言うと、ほとんどの人は英語より母国語がコンピューターのスクリーンに表示されるのを愛するのです。

しかし多くの人にとって、これは時間をかけて考える価値がないと片付けてしまう夢かもしれません。彼らは結局、この夢を実現できる自信がないのです。しかし希望を失わずに、組織を作った人たちもいます。この翻訳プロジェクトは、これらの希望を作業可能な形に形式化して、私たちのすべてが真の多言語機能を兼ね揃えたプログラムと呼べるものを手にするチャンスなのです。

GNU gettextは、他の多くのステップを構築する資産であり、翻訳プロジェクトにとって重要なステップです。このパッケージは、プログラマー、翻訳者、そしてユーザーにたいして、統合されたツールとドキュメントを提供します。特に GNU gettextユーティリティーは、他のパッケージに多言語化されたメッセージを生成するためのフレームワークを提供するツール群です。このツールには以下のものが含まれます:

GNU gettextは、プログラムのソースを国際化する際の影響を最小化し、その影響を可能な限り小さく保つようにデザインされています。プログラムソースを見たときに、その影響が軽微、または少なくとも軽微に見えることにより、国際化が成功する可能性が高くなります。

翻訳プロジェクトは、翻訳プロジェクトの構造や手法を記述する手段としても、GNU gettextディストリビューションを使用しています。これは、この文書がGNU gettextの技術面に限定して適切に記述された文書であることを超えるものであることを意味します。そうすることにより、翻訳者は翻訳作業を適切に行うために知る必要のあるすべてのことを、可能な限り単一の場所で見つけることができます。この補足的な文書により、プログラマーさらに好奇心のあるユーザーは、GNU gettextが翻訳プロジェクト以外の場所とどのように関連しているかを理解し、大きな絵を垣間見ることができます。


Footnotes

(1)

このマニュアルでEmacsという言葉を使用するときは、FSF Emacsとも呼ばれるGNU EmacsとXEmacs、そしてLucid Emacsを指します。