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7.1 msgmergeプログラムの呼び出し

msgmerge [option] def.po ref.pot

msgmergeプログラムは、Uniforumスタイルの2つの.poファイルをマージして1つにします。def.poファイルは既存のPOファイルで、メッセージが一致していれば既存の翻訳は新しいファイルに引き継がれます。その際、コメントは残されますが、抽出されたコメントやファイル内の位置などは破棄されます。ref.potは、最新のソースより作られたPOファイルですが、古い翻訳や、(通常はxgettextにより作成された)PO Templateファイルを参照するため、ドットコメント(訳注:プログラマーから翻訳者へのコメント#.のこと)やファイル内の位置情報は保存されますが、ファイル内のいくつかの翻訳やコメントは、破棄されるでしょう。完全に一致するメッセージが見つからない場合、より良い結果を生成するためにfuzzy一致が使用されます。

7.1.1 入力ファイルの位置

def.po

古いソースを参照する翻訳です。

ref.pot

新しいソースへの参照です。

-D directory
--directory=directory

ディレクトリーのリストにdirectoryを追加します。このディレクトリーのリストよりソースファイルを検索します。しかし.poファイルが出力されるのは、カレントディレクトリーです。

-C file
--compendium=file

メッセージを翻訳するための追加のライブラリーを指定します。Compendiumを参照してください。このオプションは複数指定することができます。

7.1.2 オペレーションモード

-U
--update

def.poファイルを更新します。すでにdef.poが最新の場合は何もしません。

7.1.3 出力ファイルの位置

-o file
--output-file=file

指定されたファイルに出力を書き込みます。

出力ファイルが指定されていない、または‘-’が指定された場合、結果は標準出力に出力されます。

7.1.4 更新モードでの出力ファイルの位置

処理結果はdef.poファイルに書き戻されます。

--backup=control

def.poのバックアップを作成します。

--suffix=suffix

通常使用されるバックアップの接尾辞を上書きします。

--backupオプション、もしくは環境変数VERSION_CONTROLを通じてバージョン管理の方式を選択します。以下の値が指定できます:

none
off

(--backupオプションが指定されていたとしても)バックアップを作成しません。

numbered
t

番号付きのバックアップを作成します。

existing
nil

このファイルの番号付きのバックアップがすでに存在する場合、番号付きバックアップを作成し、そうでなければ単純なバックアップを作成します。

simple
never

常に単純なバックアップを作成します。

--suffixまたは環境変数SIMPLE_BACKUP_SUFFIXが設定されていない場合は、バックアップの接尾辞として‘~’を使用します。

7.1.5 オペレーションの修飾

-m
--multi-domain

def.po内の各ドメインにたいして、ref.potを適用します。

-N
--no-fuzzy-matching

完全に一致するものが見つからない場合、fuzzyマッチングを行いません。これにより処理のスピードが大幅に改善されます。

--previous

翻訳されたメッセージをもつ古いmsgidにたいしてfuzzyマーカーを追加するときに、‘#|’マークをつけて古いメッセージを保持します。

7.1.6 入力ファイルの構文

-P
--properties-input

入力ファイルがPOファイルの構文ではなく、Javaの.propertiesの構文にのっとったJava ResourceBundleファイルだとみなします。

--stringtable-input

入力ファイルがPOファイルの構文ではなく、NeXTstep/GNUstepのlocalized resourceの.stringsの構文にのっとったファイルだとみなします。

7.1.7 出力の詳細

--lang=catalogname

ヘッダーのエントリーで使用される‘Language’フィールドを指定します。このフィールドの意味についてはHeader Entryを参照してください。‘Language-Team’と‘Plural-Forms’のフィールドは変更されないことに注意してください。このオプションを指定しない場合、‘Language-Team’フィールドから最適なものを推測して、‘Language’フィールドに入力します。

--color
--color=when

色や色以外のテキスト属性を使うか、いつ使うかを指定します。詳細はThe --color optionを参照してください。

--style=style_file

--colorにたいしてCSS style ruleファイルを使うかを指定します。詳細はThe --style optionを参照してください。

--force-po

メッセージが何も含まれていない場合でも、常に出力ファイルに書き込みます。

-i
--indent

インデントされた形式で.poファイルを書き込みます。

--no-location

#: filename:line’という行を書き込みません。

--add-location

#: filename:line’という行を生成します(デフォルト)。

--strict

Uniforumに厳密に準拠したPOファイルを出力します。このUniforum形式はGNUの拡張をサポートしないため避けたほうがよいでしょう。

-p
--properties-output

Javaの.propertiesの書式で、Java ResourceBundleを出力します。このファイル形式はplural formをサポートせず、廃止されたメッセージを暗黙で除去することに注意してください。

--stringtable-output

.stringsの書式で、NeXTstep/GNUstepのローカライズされたリソースファイルを出力します。このファイル形式はplural formをサポートしないことに注意してください。

-w number
--width=number

出力ページの幅をセットします。これにより出力ファイル中の長い文字列が指定した幅(例:スクリーンの列数)に収まるように、各行の長さがnumber以下のような複数の行に分割されます。

--no-wrap

長いメッセージ行を分割しません。出力ページの幅を超えるようなメッセージ行も、複数行に分割されません。出力ページの幅を超えるファイル参照行だけが分割されます。

-s
--sort-output

ソートされた出力を生成します。このオプションを使用することにより翻訳者が、メッセージがどのようなコンテキストで使用されるかを理解するのが、困難になることに注意してください。

-F
--sort-by-file

ファイルの場所により出力をソートします。

7.1.8 情報的な出力

-h
--help

このヘルプを表示して終了します。

-V
--version

バージョン情報を表示して終了します。

-v
--verbose

診断レベルを上げます。

-q
--quiet
--silent

プログレスインジケーターを表示しません。


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