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8.3.6 fuzzyエントリー

POファイルのエントリーは、一連の属性を持っています。それらは名前から得られるような性質をもち、翻訳に関するシステムコメントを明示するために使用されます。その属性1つがfuzzyで、この属性をもつエントリーがfuzzy(あいまいな)な翻訳であることを示します。この属性がつけられたエントリーのことを、fuzzyエントリーと呼びます。

通常fuzzyエントリーは、おおよそ目的にあった翻訳であるような翻訳済みエントリーにたいして、翻訳者が見直しのために使用するものです。これらのfuzzyエントリーは、古い翻訳済みのPOファイルを新しいPOテンプレートファイルに対応して更新するために、msgmergeプログラムを適用することにより生成されることもあり、それはこのツールが、新しいmsgidが、古いものをわずかに修正したものであって、新しい修正されたエントリーに古い翻訳を選択できると推測したときです。元の文字列(msgid文字列)にたいするわずかな変更は、翻訳にも影響を与える場合があり、これは翻訳者による判断が必要です。あるエントリーにたいしてmsgmergeがfuzzyのマークを付与するのには、このような理由があるのです。

翻訳者が後で再検討する必要があるエントリーを覚えておくために、彼女自身の都合でエントリーをfuzzyとすることもあります。したがって特にfuzzyエントリーを処理するためのコマンドが、いくつかあります。

f

次のfuzzyエントリーを検索します(po-next-fuzzy-entry)。

F

前のfuzzyエントリーを検索します(po-previous-fuzzy-entry)。

TAB

カレントエントリーのfuzzy属性を取り除きます(po-unfuzzy)。

fコマンド(po-next-fuzzy-entry)とFコマンド(po-previous-fuzzy-entry)は、前方もしくは後方のfuzzyエントリーに移動します。fuzzyエントリーが見つからなかった場合、PO ファイルのバッファーの先頭または終端に戻って検索します。

TABコマンド(po-unfuzzy)は、エントリーに付与されているfuzzy属性を取り除いて、通常は翻訳済みのエントリーとします。さらに、変数po-auto-select-on-unfuzzynilでない場合には、TABコマンドにより自動的に他の対象となるエントリーに移動します。po-auto-select-on-unfuzzyの初期値はnil です。

po-auto-fuzzy-on-editの初期値はnilです。しかし変数po-auto-fuzzy-on-edittをセットすると、RETコマンドで編集したエントリーは、後から再チェックなどができるようにfuzzyとマークされます。この場合、通常の使用法では、翻訳者が変更したエントリーは、(すでにfuzzy だった場合をのぞき)fuzzyエントリーに変更されることになります。彼女が翻訳に満足した場合、TABを使えばfuzzy属性をクリアーするとともに、他のエントリーへと移動することができます。まだ翻訳が不十分だと思ったときは、SPCを使えばfuzzy属性を保持したまま他のエントリーに移動することができます。

翻訳者が作業中のエントリーを後で見直したいようなときに見つけやすいように、翻訳済みのエントリーをfuzzyとマークする場合は、DELコマンド(po-fade-out-entry)を使うこともできます。

翻訳者が作業を終えてPOファイルのバッファーをqコマンドで閉じるとき、まだfuzzyエントリーが残っている場合は、終了してもよいか確認を求められます。