2.5.1 バッファー型

バッファー(buffer)とは、編集されるテキストを保持するオブジェクトです(バッファーを参照)。ほとんどのバッファーはディスクファイル(ファイルを参照)の内容を保持するので編集できますが、他の目的のために使用されるものもいくつかあります。ほとんどのバッファーはユーザーにより閲覧されることも意図しているので、いつかはウィンドウ内(ウィンドウを参照)に表示されます。しかしバッファーはウィンドウに表示される必要はありません。バッファーはそれぞれ、ポイント(point)と呼ばれる位置指定をもちます(ポジションを参照)。ほとんどの編集コマンドは、カレントバッファー内のポイントに隣接する内容を処理します。常に1つのバッファーがカレントバッファー(current buffer)です。

バッファーの内容は文字列によく似ていますが、バッファーはEmacs Lispの文字列と同じようには使用されず、利用可能な操作は異なります。たとえば文字列にテキストを挿入するためには部分文字列の結合が必要であり、結果が完全に新しい文字列オブジェクトになるのにたいして。バッファーでは既存のバッファーに効率的にテキストを挿入してバッファーの内容を変更できます。

標準的なEmacs関数の多くは、カレントバッファー内の文字を操作したりテストするためのものです。このマニュアルはこれらの関数の説明のために、1つのチャプターを設けています(テキストを参照)。

他のデータ構造のいくつかは、各バッファーに関連付けられています:

ローカルキーマップと変数リストは、グローバルなバインディングや値を個別にオーバーライドするためのエントリーを含みます。これらは実際にプログラムを変更することなく、異なるバッファーでプログラムの振る舞いをカスタマイズするために使用されます。

バッファーはインダイレクト(indirect: 間接) — つまり他のバッファーとテキストを共有するがそれぞれ別に表示する — かもしれません。インダイレクトバッファーを参照してください。

バッファーに入力構文はありません。バッファーはバッファー名を含むハッシュ表記でプリントされます。

(current-buffer)
     ⇒ #<buffer objects-ja.texi>
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