EmacsはVC Directoryバッファーの操作と、カレントVCファイルセットに属させるために、ファイルをマークするためのコマンドをいくつか提供します。
次のエントリーにポイントを移動します(vc-dir-next-line
)。
前のエントリーにポイントを移動します(vc-dir-previous-line
)。
次のディレクトリーエントリーに移動します(vc-dir-next-directory
)。
前のディレクトリーエントリーに移動します(vc-dir-previous-directory
)。
カレント行にリストされたファイル、またはディレクトリーをvisitします(vc-dir-find-file
)。
カレント行にリストされたファイル、またはディレクトリーを別のウィンドウでvisitします(vc-dir-find-file-other-window
)。
カレント行のファイルまたはディレクトリーをマークして、それをカレントVCファイルセットに加えます(vc-dir-mark
)。リージョンがアクティブのときは、リージョンの中のすべてのファイルをマークします。
すでにマークされたディレクトリーの中のファイル、またはそのサブディレクトリーは、このコマンドではマークされません。同様に、ツリーの中のいくつかのファイルがマークされているディレクトリーは、このコマンドではマークされません。
ポイントがファイルエントリーにあるときは、同じ状態のすべてのファイルをマークします。ポイントがディレクトリーエントリーにあるときは、そのディレクトリーツリーのすべてのファイルをマークします(vc-dir-mark-all-files
)。プレフィクス引数を指定した場合、リストされたファイルとディレクトリーのすべてをマークします。
regexpでファイルをマークするためにこのコマンドを使用できます(vc-dir-mark-by-regexp
)。プレフィックス引数が与えられた場合にはマークではなくマークを解除します。
このコマンドは編集済み(edited)、追加済み(added)、削除済み(removed)を含む登録済み(registered)のいずれかの状態にあるファイルをマークするために用いることができます(vc-dir-mark-registered-files
)。
ポイントの下にあるファイルをVCが無視(ignore)すべきファイルのリストに追加します(vc-dir-ignore
)。たとえばVCがGitなら、そのファイル.gitignoreファイルに追加します。プレフィクスが与えられたら、マークしたすべてのファイルにこれを行います。
VC Directoryバッファーを終了して、隠します(quit-window
)。
カレント行のファイル、またはディレクトリーのマークを外します(vc-dir-unmark
)。リージョンがアクティブのときは、リージョンの中のすべてのファイルのマークを外します。
ポイントがファイルエントリーにあるときは。同じ状態のすべてのファイルのマークを外し、ポイントがディレクトリーエントリーにあるときは、そのディレクトリーツリーのすべてのファイルのマークを外します(vc-dir-unmark-all-files
)。プレフィクス引数を指定した場合、すべてのファイルおよびディレクトリーのマークを外します。
状態が‘up-to-date’、または‘ignored’のファイルを隠します(vc-dir-hide-up-to-date
)。プレフィクス引数を指定した場合、状態がポイント位置のアイテムと同じアイテムを隠します。
VC Directoryバッファーでは、m (vc-dir-mark
)またはM
(vc-dir-mark-all-files
)でマークしたすべてのファイルが、カレントVCファイルセットになります。ディレクトリーエントリーをmでマークした場合、そのディレクトリーツリーにリストされたすべてのファイルが、カレントVCファイルセットになります。カレントVCファイルセットに属するファイルとディレクトリーは、VC
Directoryではバージョンコントロール状態の隣に、文字‘*’が示されます。この方法によりC-x v v
(バージョンコントロール下での基本的な編集を参照してください)、C-x v = (古いリビジョンの調査と比較を参照してください)、C-x v u (バージョンコントロール操作のアンドゥを参照してください)のようなVCコマンドが作用する、複数ファイルのVCファイルセットをセットアップできます。
VC Directoryバッファーは、C-x vというプレフィクスをもつコマンドを、1キーで入力するショートカット(=、+、l、i、D、L、G、I、O、v)を定義します。
たとえば、VC
Directoryバッファーで開いて編集された一連のファイルは、‘edited’という状態でリストされ、それらのファイルをマークして、vまたはC-x
v v
(vc-next-action
)でコミットできます。バージョンコントロールシステムが変更セットベースの場合、Emacsはそれらのファイルを1つのリビジョンとしてコミットします。
VC Directoryバッファーでは、以下のコマンドによりカレントVCファイルセットの検索と置換を処理することもできます:
ファイルセットを検索します(vc-dir-search
)。
ファイルセットにたいして、正規表現による問い合わせ置換を行います(vc-dir-query-replace-regexp
)。
ファイルセットにたいして、インクリメンタル検索を行います(vc-dir-isearch
)。
ファイルセットにたいして、インクリメンタルな正規表現検索を行います(vc-dir-isearch-regexp
)。
複数ファイルに作用する点を除けば、これらのコマンドは1つのバッファーに作用する同等のコマンドに似ています(検索と置換を参照してください)。
VC Directoryバッファーは追加でブランチ関連のコマンドを定義しており、それらはプレフィックスbで始まります:
新たにブランチを作成します(vc-create-branch
)。新しいブランチの作成を参照してください。
ブランチ名の入力を求め、そのブランチの変更履歴を表示します(vc-print-branch-log
)。
ブランチを切り替えます(vc-switch-branch
)。ブランチ間の切り替えを参照してください。
マークされたファイル、マークされたファイルがなければカレントファイルを削除します(vc-dir-clean-delete)
。バージョンコントロールシステムではマークされたファイルが削除される訳ではないので、これは主としてバージョンコントロールシステムに未登録のファイルにたいして有用です。
上記のコマンドは、メニューバーおよびmouse-2によるコンテキストメニューを通じても利用可能です。さらにVCのバックエンドのいくつかは、そのバックエンド特有のコマンドを提供するメニューを使用します。たとえばGitとBazaarでは、stashes(隠してあるもの)とshelves(棚)(コミットされていない変更を一時的に除外して、後でそれを戻すコマンド)を操作できます。