30.1.10.2 VC Directoryコマンド

EmacsはVC Directoryバッファーの操作と、カレントVCファイルセットに属させるために、ファイルをマークするためのコマンドをいくつか提供します。

n
SPC

次のエントリーにポイントを移動します(vc-dir-next-line)。

p

前のエントリーにポイントを移動します(vc-dir-previous-line)。

TAB

次のディレクトリーエントリーに移動します(vc-dir-next-directory)。

S-TAB

前のディレクトリーエントリーに移動します(vc-dir-previous-directory)。

RET
f

カレント行にリストされたファイル、またはディレクトリーをvisitします(vc-dir-find-file)。

o

カレント行にリストされたファイル、またはディレクトリーを別のウィンドウでvisitします(vc-dir-find-file-other-window)。

m

カレント行のファイルまたはディレクトリーをマークして、それをカレントVCファイルセットに加えます(vc-dir-mark)。リージョンがアクティブのときは、リージョンの中のすべてのファイルをマークします。

すでにマークされたディレクトリーの中のファイル、またはそのサブディレクトリーは、このコマンドではマークされません。同様に、ツリーの中のいくつかのファイルがマークされているディレクトリーは、このコマンドではマークされません。

M

ポイントがファイルエントリーにあるときは、同じ状態のすべてのファイルをマークします。ポイントがディレクトリーエントリーにあるときは、そのディレクトリーツリーのすべてのファイルをマークします(vc-dir-mark-all-files)。プレフィクス引数を指定した場合、リストされたファイルとディレクトリーのすべてをマークします。

% m
* %

regexpでファイルをマークするためにこのコマンドを使用できます(vc-dir-mark-by-regexp)。プレフィックス引数が与えられた場合にはマークではなくマークを解除します。

* r

このコマンドは編集済み(edited)、追加済み(added)、削除済み(removed)を含む登録済み(registered)のいずれかの状態にあるファイルをマークするために用いることができます(vc-dir-mark-registered-files)。

G

ポイントの下にあるファイルをVCが無視(ignore)すべきファイルのリストに追加します(vc-dir-ignore)。たとえばVCがGitなら、そのファイル.gitignoreファイルに追加します。プレフィクスが与えられたら、マークしたすべてのファイルにこれを行います。

q

VC Directoryバッファーを終了して、隠します(quit-window)。

u

カレント行のファイル、またはディレクトリーのマークを外します(vc-dir-unmark)。リージョンがアクティブのときは、リージョンの中のすべてのファイルのマークを外します。

U

ポイントがファイルエントリーにあるときは。同じ状態のすべてのファイルのマークを外し、ポイントがディレクトリーエントリーにあるときは、そのディレクトリーツリーのすべてのファイルのマークを外します(vc-dir-unmark-all-files)。プレフィクス引数を指定した場合、すべてのファイルおよびディレクトリーのマークを外します。

x

状態が‘up-to-date’、または‘ignored’のファイルを隠します(vc-dir-hide-up-to-date)。プレフィクス引数を指定した場合、状態がポイント位置のアイテムと同じアイテムを隠します。

VC Directoryバッファーでは、m (vc-dir-mark)またはM (vc-dir-mark-all-files)でマークしたすべてのファイルが、カレントVCファイルセットになります。ディレクトリーエントリーをmでマークした場合、そのディレクトリーツリーにリストされたすべてのファイルが、カレントVCファイルセットになります。カレントVCファイルセットに属するファイルとディレクトリーは、VC Directoryではバージョンコントロール状態の隣に、文字‘*’が示されます。この方法によりC-x v v (バージョンコントロール下での基本的な編集を参照してください)、C-x v = (古いリビジョンの調査と比較を参照してください)、C-x v u (バージョンコントロール操作のアンドゥを参照してください)のようなVCコマンドが作用する、複数ファイルのVCファイルセットをセットアップできます。

VC Directoryバッファーは、C-x vというプレフィクスをもつコマンドを、1キーで入力するショートカット(=+liDLGIOv)を定義します。

たとえば、VC Directoryバッファーで開いて編集された一連のファイルは、‘edited’という状態でリストされ、それらのファイルをマークして、vまたはC-x v v (vc-next-action)でコミットできます。バージョンコントロールシステムが変更セットベースの場合、Emacsはそれらのファイルを1つのリビジョンとしてコミットします。

VC Directoryバッファーでは、以下のコマンドによりカレントVCファイルセットの検索と置換を処理することもできます:

S

ファイルセットを検索します(vc-dir-search)。

Q

ファイルセットにたいして、正規表現による問い合わせ置換を行います(vc-dir-query-replace-regexp)。

M-s a C-s

ファイルセットにたいして、インクリメンタル検索を行います(vc-dir-isearch)。

M-s a C-M-s

ファイルセットにたいして、インクリメンタルな正規表現検索を行います(vc-dir-isearch-regexp)。

複数ファイルに作用する点を除けば、これらのコマンドは1つのバッファーに作用する同等のコマンドに似ています(検索と置換を参照してください)。

VC Directoryバッファーは追加でブランチ関連のコマンドを定義しており、それらはプレフィックスbで始まります:

b c

新たにブランチを作成します(vc-create-branch)。新しいブランチの作成を参照してください。

b l

ブランチ名の入力を求め、そのブランチの変更履歴を表示します(vc-print-branch-log)。

b s

ブランチを切り替えます(vc-switch-branch)。ブランチ間の切り替えを参照してください。

d

マークされたファイル、マークされたファイルがなければカレントファイルを削除します(vc-dir-clean-delete)。バージョンコントロールシステムではマークされたファイルが削除される訳ではないので、これは主としてバージョンコントロールシステムに未登録のファイルにたいして有用です。

上記のコマンドは、メニューバーおよびmouse-2によるコンテキストメニューを通じても利用可能です。さらにVCのバックエンドのいくつかは、そのバックエンド特有のコマンドを提供するメニューを使用します。たとえばGitとBazaarでは、stashes(隠してあるもの)shelves(棚)(コミットされていない変更を一時的に除外して、後でそれを戻すコマンド)を操作できます。


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