Emacsを呼び出す通常の方法は、シェルコマンドemacs
です。GUI端末上で実行されるUnixシェルからは、emacs
&によりEmacsをバックグラウンドで実行できます。この方法だとEmacsが端末ウィンドウに結びつけられないため、他のシェルコマンドを実行できます(MS-WindowsでEmacsを開始する方法については、MS-WindowsでEmacsを開始する方法を参照)。
Emacsを起動すると、初期フレームは‘*GNU
Emacs*’という名前の特別なバッファーを表示します。このスタートアップ画面(startup
screen)には、Emacsについての情報と、初心者にとって便利な一般的タスクへのリンクが含まれています。たとえば‘Emacs
Tutorial’というリンクはEmacsのチュートリアルを開きます。これはコマンドC-h t
(help-with-tutorial
)と同じです。リンクをアクティブにするには、ポイントをそこに動かしてRETをタイプするか、mouse-1(マウスの左ボタン)をクリックしてください。
コマンドライン引数を使うと、Emacsが起動直後に1つ以上のファイルをアクセスするよう指示できます。たとえばemacs
foo.txt
は、‘foo.txt’の内容を表示するバッファーとともにEmacsを起動します。これは他のエディターとの互換性により存在する機能で、シェルから短い編集セッションを始めるときのためにデザインされています。Emacsをこの方法で呼び出すと、初期フレームは2つのウィンドウに分割されます。1つは指定されたファイルで、もう1つはスタートアップ画面です。複数ウィンドウを参照してください。
一般的に、ファイルを編集するたびに新たにEmacsを起動するのは不必要で無駄です。Emacsを使うときの推奨方法は、Emacsを1度だけ起動する方法で、ログインしたら起動して、同じEmacsセッションですべての編集作業を行うのです。1つ以上のファイルをアクセスする方法は、ファイルの処理を参照してください。この方法でEmacsを使うと、Emacsのセッションはキルリング(kill ring)、レジスター(registers)、アンドゥヒストリー(undo history)、マークリング(mark ring)などの、値をもつコンテキストを蓄積するので、これを共有すれば編集がより快適になります。これらの機能については、このマニュアルの後で説明します。
Emacsを実行中に、他のプログラムからファイルを編集する場合、既存のEmacsセッションのファイルを開くために、emacsclient
というヘルパープログラムを使うことができます。サーバーとしてのEmacsの使用を参照してください。
コマンドライン引数を使って、EmacsにLispファイルをロードして初期フレームに適用させたりできます。Emacs呼び出しにたいするコマンドライン引数を参照してください。
変数inhibit-startup-screen
が非nil
の場合、Emacsはスタートアップ画面を表示しません。この場合、コマンドラインに1つ以上のファイルが指定されていれば、Emacsは単にそれらのファイルを表示し、指定されていないときはLispの式を対話的に評価できる、*scratch*という名前のバッファーを表示します。Lisp Interactionバッファーを参照してください。変数inhibit-startup-screen
のセットは、Emacsのカスタマイズ機能(Easy Customizationインターフェースを参照してください)を使うか、初期設定ファイル(Emacs初期化ファイルを参照してください)を編集して行うことができます。4
変数initial-buffer-choice
にファイルやディレクトリーの名前をセットすることにより、Emacsのスタートアップ時にファイルやディレクトリーを表示させることもできます。initial-buffer-choice
の値に、その後に表示するバッファーを戻す関数(引数なし)をセットすることもできます。
initial-buffer-choice
が非nil
の場合、コマンドラインにファイルを指定しても、それらのファイルは表示されますが、初期画面としては表示されません。
site-start.elの中でinhibit-startup-screen
をセットしても機能しません。なぜならスタートアップ画面はsite-start.elが読み込まれる前にセットアップされるからです。site-start.elについての情報は、Emacs初期化ファイルを参照してください。