グラフィカルなディスプレイとテキスト端末では、Emacsは変数tab-bar-position
に応じてオプションで各フレームのトップ、メニューバー(メニューバーを参照)の直下にタブバー(Tab Bar)、上または下にツールバー(ツールバーを参照)を表示できます。タブバーとはタブ(tabs)の行(そのフレーム上のウィンドウ構成間を切り替えるためにクリック可能)です。
タブバー上の各タブは、そのフレームの名前をもった永続的なウィンドウ構成(そのフレームがウィンドウに分割される方法と各ウィンドウにどのバッファーを表示するか)を表します。タブの名前はウィンドウ構成で可視なバッファーの名前のリストから構成されます。タブをクリックすることによってタブに記録されたウィンドウ構成(以前そのタブがカレントタブだったときにフレームで使用されたウィンドウとバッファーの構成)に切り替わります。
セッションの保存とリストアにデスクトップライブラリー(Emacsセッションの保存を参照)を使用している場合には、タブバーのタブは関連付けられたウィンドウ構成とともにデスクトップファイルに記録されて、それはセッションをリストアした後に利用することができます。
タブバーはタブラインとは異なることに注意してください(ウィンドウのタブラインを参照)。各ウィンドウ上端にあるタブラインのタブはウィンドウ内でのバッファーの切り替え、各フレーム上端にあるタブバーのタブは1つ以上のバッファーを表示する複数のウィンドウを含むウィンドウ構成の切り替えに使用します。
タブバーの使用を切り替えるには、M-x
tab-bar-modeとタイプします。このコマンドは、まだ作成されていないフレームを含むすべてのフレームに適用されます。起動時にタブバーの使用を制御するには、変数tab-bar-mode
をカスタマイズして保存してください。
変数tab-bar-show
はTab
Barモードを自動的にオンにするかどうかを制御します。この値がt
なら、新たなタブを作成するコマンドの使用時にtab-bar-mode
モードが有効に成増。値が1
ならタブが1つだけのときはタブバーを隠して、さらにタブが作成されたら再び表示します。より一般的には値が非負の整数なら、タブ数がその数より多くなったときだけタブバーを表示します。値nil
は常にタブバーを非表示にします。この場合でもM-x
tab-next、M-x
tab-switcher、およびタブ名の補完を提供するその他のコマンドを使用することによってタブバーなしで名前つきのウィンドウ構成を切り替えることができます。M-x
tab-new、M-x tab-close等のコマンドを使用することにより、タブバーの作成やクローズも可能です。
tab-bar-show
に数値をセットすることで、フレームごとに作成されたタブ数に応じて、あるフレームではタブバーを表示したり、他のフレームでは表示しないようにすることができます。
選択されたフレーム上のタブバーのみ使用を切り替えるにはM-x
toggle-frame-tab-barとタイプします。このコマンドの機能により変数tab-bar-mode
やtab-bar-show
の値とは関係なく、あるフレームではTab
Barを有効にして他のフレームでは無効のままにするといった選択的な適用ができるようになります。
プレフィクスキーC-x tはC-x 5と似ています。C-x 5コマンドはバッファーを別フレームにポップアップしますが(フレームの作成を参照)、C-x tコマンドは選択されたフレームで異なるウィンドウ構成に別のタブを使用します。
以下のC-x tコマンドは選択するバッファーを検索したり作成する方法が異なります。以下のコマンドは新たなタブでのバッファーの選択に使用できます。:
タブを新たに追加します(tab-new
)。変数tab-bar-new-tab-choice
のカスタマイズによって新たなタブに表示するバッファーの選択を制御できます。変数tab-bar-tab-name-function
をカスタマイズすれば新しいタブに付与されるデフォルト名を制御できます。
バッファーbufnameを他のタブで選択します。これはswitch-to-buffer-other-tab
を実行します。
ファイルfilenameをvisit(ファイルのvisit(訪問)を参照)して、そのバッファーを他のタブで選択します。これはfind-file-other-tab
を実行します。
別のタブで指定されたdirectoryを編集します(Dired (ディレクトリーエディター)を参照)。ディレクトリーにたいするDiredバッファーを、他のタブで選択します。これはdired-other-tab
を実行します。
これはプレフィクスコマンド(other-tab-prefix
)であり、これの直後に呼び出される次コマンドに効果を及ぼします。このプレフィクスコマンドは次コマンドにより表示されるバッファーが別のタブに表示されるるよう要求します。
デフォルトでは新たなタブを追加したコマンドの呼び出し前にカレントだったバッファーとともに新たなタブが開始されます。別のバッファーとともに新たなタブを開始するには、変数tab-bar-new-tab-choice
をカスタマイズしてください。
変数tab-bar-new-tab-to
は新たなタブを配置する場所を定義します。デフォルトでは新たなタブはカレントタブの右側に追加されます。
以下のコマンドはタブの削除に使用されます:
選択されたタブをクローズします(tab-close
)。変数tab-bar-close-last-tab-choice
がデフォルト値なら、1つのタブの場合には効果はありません。
選択されたタブを除き、選択されたフレーム上のすべてのタブを削除します。
変数tab-bar-close-tab-select
はカレントタブをクローズ後に選択するタブを定義します。デフォルトではもっとも最近使用したタブを選択します。
コマンドtab-undo
は最後にクローズしたタブをリストアします。
以下のコマンドはタブ間を切り替えるために使用されます:
次のタブに切り替えます(tab-next
)。このコマンドを繰り返すと選択されたフレームのすべてのタブを巡回します。正の数引数nでは次のn番目のタブ、負の引数−nでは前のn番目のタブに切り替えます。
前のタブに切り替えます(tab-previous
)。正に数引数nでは前のn番目のタブ、負の引数−nでは次のn番目のタブに切り替えます。
すべてのタブの名前の補完つきで名前でタブを切り替えます(tab-switch
)。デフォルト値、およびタブ名の“将来のヒストリー(future
history)”はもっとも最近使用された順にソートされたタブ名なので、M-n
(next-history-element
)で最後にvisitしたタブ、その前のタブ、...を取得します。
タブ名でタブを番号tab-numberで切り替えます(tab-select
)。1つ以上のmodifierキーを指定するために変数tab-bar-select-tab-modifiers
をカスタマイズした後には、選択するタブ番号と指定した修飾キーの組み合わせの1つによりタブの序数でタブを選択できます。番号9は最後のタブの選択に使用できます。
Emacsがサポートする任意の修飾キー選択できます。修飾キーを参照してください。別の変数tab-bar-tab-hints
をカスタマイズして、タブ名とともにタブ番号を表示できます。これは番号でタブを選択するためにどの数字キーを押下すれば判断する助けになるでしょう。
最後に使用したタブに切り替えます(tab-last
)。キーの組み合わせはtab-bar-select-tab-modifiers
で指定した修飾キーと9です。数引数nでは最後からn番目に使用したタブに切り替えます。
最近使用したタブに切り替えます(tab-recent
)。キーの組み合わせはtab-bar-select-tab-modifiers
で指定した修飾キーと0です。数引数nではn番目に最近使用したタブに切り替えます。
以下のコマンドはタブを操作するために使用されます:
カレントタブをtabnameりリネームします(tab-rename
)。
カレントタブの位置を1つ右に移動します(tab-move
)。正の数引数nではその回数分右、負の引数−nではn個左の位置へ移動します。
タブの操作にマウスを使うことができます。mouse-2のクリックでタブのクローズ、mouse-3のクリックによりクリックしたタブを操作するアイテムを含んだコンテキストメニューをポップアップ、mouse-1でタブをドラッグすることによってタブバー上の別の位置にタブを移動できます。マウスホイールをスクロールすると次、または前のタブに切り替わります。スクロール中にSHIFTキーを押下すればタブが左、または右に移動します。
タッチスクリーン入力(タッチスクリーン入力と仮想キーボードを参照)をタブ操作に用いることもできます。タブを長押し(Emacsでのタッチスクリーンの使用を参照)すると、押下されているタブを操作するアイテムをもつコンテキストメニューが表示されます。タブバー自体を長押しすれば、タブの作成や削除が行えるコンテキストメニューが表示されます。タブ自体をタップするとそのタブのウィンドウ構成が選択されて、タブバー上のボタンをタップしたときはあたかもボタンがmouse-1でクリックされたかのように振る舞うでしょう。
すべてのタブに使用されたウィンドウ構成の記録と後でリストアするためにtab-bar-history-mode
を有効にできます。
カレントタブで前に仕様されたウィンドウ構成をリストアします。これによりウィンドウ構成のヒストリーを戻ります。
前のウィンドウ構成のリストアを取り消します。これはウィンドウ構成のヒストリーを前に移動します。
ユーザーオプションtab-bar-format
でタブバー上に表示されるアイテムをカスタマイズできます。