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Installationで説明されているような行を追加してEmacsを設定した後は、POファイルを検知するとEmacsがそのウィンドウにたいしてPOモードを有効にします。これによりそのウィンドウは読み取り専用となり、po-mode-mapが設定されます。これはテキストモードから継承されたのではなく、純粋なEmacsのモードです。もしpo-mode-hook
に指定された関数があれば、実行されます。
あるウィンドウにたいしてPOモードが有効になると、‘PO’という文字が、そのウィンドウのモードラインに表示されます。モードラインにはPOファイルに含まれている各種エントリーがいくつあるかも表示されます。たとえば‘132t+3f+10u+2o’という文字列が表示されている場合、POモードには132個の翻訳済みのエントリー(Translated Entriesを参照してください)と、3個のfuzzyエントリー(Fuzzy Entriesを参照してください)、それに10個の未翻訳のエントリー(Untranslated Entriesを参照してください)と、2個の廃止されたエントリー(Obsolete Entriesを参照してください)が含まれていることを翻訳者に示しています。この際、エントリーが0個のものは表示されません。この例にならうと、fuzzyエントリーが解消され、未翻訳のエントリーが翻訳され、廃止されたエントリーが削除されれば、モードラインには‘145t’だけが表示されることになります。
主要なPOコマンドの中には、以下のセクションのカテゴリー分けに適合しないものもあります。それらのコマンドとは、POモードやPOモードが管理するウィンドウを、特別な方法で終了する方法などです。
POファイルにたいする最後の変更を取り消します(po-undo
)。
処理を終了してPOファイルを保存します(po-quit
)。
問い合わせの後に処理を終了します(po-confirm-and-quit
)。
一時的にPOファイルのウィンドウを離れます(po-other-window
)。
POモードのヘルプを表示します(po-help
)。
POファイルに関する統計情報を取得します(po-statistics
)。
POファイル全体のフォーマットを検証します(po-validate
)。
_コマンド(po-undo
)は、Emacsのundo機能と連携します。Undoing
Changes in The Emacs
Editorを参照してください。_を入力する度に、翻訳者がPOファイルにたいして行った変更が少しずつ取り消されていきます。取り消し機能を実現するために、POモードのコマンドはアトミックになっています。これは特にRETコマンドにたいして当てはまります。このコマンドを使用して行った1度の変更は、編集がいくつかの操作により行われたものだったとしても、1度の取り消しで元に戻ります。しかし編集中のウィンドウでは、作業をより小さい単位で取り消すことができます。
Qコマンド(po-quit
)と、qコマンド(po-confirm-and-quit
)は、翻訳者がPOファイルにたいする作業を終了するときに使用します。後者のコマンドは前者のコマンドに比べると冗長なコマンドです。ファイルが変更されていた場合、まずディスクにファイルが保存されます。ファイルが変更されていない場合でも、コマンドはまずPOファイルに未翻訳のメッセージが残されていないかをチェックして、もしそのようなメッセージが残っていた場合、翻訳者は本当にこのPOファイルにたいする作業を終了したいのか尋ねられます。これはEmacsのPOファイルにたいするバッファーを離れるときに望ましい方法です。単にバッファーをkillする通常のC-x kコマンド(kill-buffer
))は、好ましい方法ではありません。
0コマンド(po-other-window
)は、POモードを一時的に離れるときに使用する、よりソフトな方法です。このコマンドはカーソルをEmacsの他のウィンドウに移動して、他のウィンドウを表示します。たとえば翻訳者が、メッセージのソース文脈中での箇所を探して、ソースのバグを修正するためだけにPOモードを開いている場合などに使用します。このコマンドにより翻訳者たる彼女は、プログラマーたる彼へと性転換を遂げ、修正したいプログラムを表示しているウィンドウにカーソルを移すことができます。後でPOファイルのウィンドウにカーソルを戻すか、このファイルをもう一度編集するかをEmacsに指定した時に、POモードが復元されます。
hコマンド(po-help
)は、POモードで利用可能なすべてのコマンドの要約が表示されます。翻訳者が任意の文字を入力することにより、通常のPOモードの操作に戻ることができます。?コマンドでも、hコマンドと同じ結果を得ることができます。
=コマンド(po-statistics
)は、POファイルのすべてのエントリーを集計し、現在のエントリーが先頭から数えて何番目かと、未翻訳のエントリー数、廃止されたエントリー数等のすべての数を表示します。
Vコマンド(po-validate
)は、msgfmt
のverbose
modeにより、編集中のPOファイルをチェックします。このコマンドは最初に編集中のPOファイルをディスクに保存します。GNU
gettext
のmsgfmt
は、POファイルの出力としてMOファイルを生成するツールで、POモードがPOファイル全体の書式や個々のエントリーの書式をチェックするのに、このプログラムの機能が使用されています。
msgfmt
プログラムはEmacsと非同期で実行されるので、POファイルの評価が終わっていなくても、制御はすぐに翻訳者に戻されます。標準エラー出力への出力はEmacsにより収集されて、他のウィンドウの‘*compilation*’バッファーに表示されます。Emacsの通常コマンドのC-x`(next-error
)や、その他の同様のコンパイル時のコマンドにより、翻訳者は素早くPOファイル中の提示された位置に移動することができます。カーソルがエラーのある行に移動すると、翻訳者がエラーを修正するためのPOモードのコマンドを選択することができます。